迷路荘の惨劇　横溝正史シリーズⅡ

「迷路荘の惨劇」です。わかりやすいタイトルです。内容も想像できそうです。「迷路荘で惨劇が起こりそう！」あえて、触れなかった方が良かったでしょうか？

私的には、このタイトルでイメージするのは、アガサクリスティーの「スタイルズ荘の怪事件」です。冷静に見れば、「荘」しか重複していないのですが、なぜか連想してしまいました。ただ内容的には、複雑な家庭でお金持ちだった場合は、気を付けよう！は、共通です。

なお、この作品をもって、テレビシリーズは終了です。こうなれば、今まで飛ばしていたエンディング曲「あざみの如く　棘あれば」が名残惜しく聞こえます。

ドラマの原作

この作品は短編作品をもとに製作されており全3話で構成されています。1956年には「迷路荘の怪人」として発表され、後に中編作品、さらに加筆長編化され1975年に刊行されたものが原作となります。

ドラマキャスト

金田一耕助・日和警部　（古谷一行・長門勇）

これで持って横溝正史シリーズ終了となる作品ですので、このコンビの姿が見れなくなると思うと感慨深いです。

篠崎慎吾　（三橋達也）

新興のお金持ちです。戦中は、金田一耕助の上官軍曹で世話をされ、戦後も居候させていただいた恩人です。現在の迷路荘の所有者です。

篠崎倭文子　（浜木綿子）

”しのざき　しずこ”と読むそうで、難しい。元侯爵の古舘当主の嫁でしたが、離婚し篠崎慎吾と再婚しています。

古舘辰人　（仲谷昇）

元伯爵にして、迷路荘の元所有者です。嫁を離婚し、その嫁のいる迷路荘に法要のため宿泊しています。

天坊邦武　（伊豆肇）

古舘の親戚にして、元子爵です。戦後は古舘家とともに没落しています。

概要です

こちらの作品も、過去に起きた殺人事件が起因しています。明治期の元勲が時間とお金をかけたお城のような別荘「名琅荘」、通称「迷路荘」です。館内は26室があるそうです。この度改装され、ホテルの営業を目指しており、以前に起きた事件の供養をすることを目的としてこちらに時間関係者が法要することを目的に集まり、連続殺人事件です。

なお、起因となる20年前の事件捜査で、まだ下っ端だった日和警部が関わっていたのを”お糸”に明かされ、周囲の刑事に笑われるシーンがあります。

基本的に、横溝作品には深く考える悪い人と短絡的な悪い人が混在し、物語を複雑にする傾向があるように思いえます。被害者も同様に、いわれある被害者と巻き込まれ型の被害者があり、謎が深まります！

ドラマあらすじ

明治期の元勲、古舘家の別荘を先々代の側室のご隠居のお手伝いさん”お糸”さん付きで購入した新興の金持ち”篠崎慎吾”です。さらに篠崎さんの奥様は古舘元伯爵の奥さんだった人です。

すでに面倒が多そうですが、さらに篠崎さん。こともあろうか、嫁にした前夫古舘元伯爵やその親戚にあたる天坊元子爵が同宿しています。

さらに、追い打ちをかけるように左腕の無い謎の人物が、迷路荘に皆が集まる前日に宿泊して、鍵をしたまま行方不明です。宿泊した部屋は、事前に指定された「ダリヤの間」です。この謎の人物は、いったいダリヤ？

迷路荘と呼ばれる所以の本領発揮です。迷路荘にあるトンネルとそれに続く洞窟です。これだけ横溝劇場の舞台が整えば、連続殺人事件が発生です。

またしても、犯行の原因には、人間関係が…。その人間関係はしっかりと、先ほどの洞窟同様に深く、暗く入り組んでいます。

それにしても、お糸さんの優しそうな風貌が、少し怖いです…。

ドラマの展開現場

迷路荘

この作品では、時代を前後することはあっても、基本的に迷路荘内で発生しています。他の作品では、興味を引くような温泉宿が出てきて調べるなどして手間がかかりますが、今回は楽ちんです。

任天堂・トンネル・洞窟

迷路荘の付随している施設です。任天堂にはからくり扉があり、仁王像が二体あるのですが、なぜ二体？

トンネルと洞窟の違いは、人工物と自然のものとの違いかと思います。使い分けて説明されていたので…。

まとめ

こちらの作品をもって横溝正史シリーズテレビ版は終了です。しかし、映画については、関連作品を含めまだ数点ありますので、引き続き紹介させていただきます。

改めて、「迷路荘の惨劇」についてですが、人間関係のルールを守るあまり、社会基盤のルールを破る印象です。しかし、犯人を演じた方の表情の演技が、情感に訴えるものを感じます。

私には、放映当時の俳優（女優）さんたちのポジションがよく分かりませんが、今ではベテラン俳優の方々が熱演されています。

この作品は、こちらで視聴可能です。

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