夜歩く　横溝正史シリーズⅡ

金田一耕助の戦地でのシーンから始まるこの作品です。金田一耕助の戦時中の関係から始まる作品はありましたが、戦地は初めてです。

全三回の作品になり、金田一耕助の戦時中に受けた戦友への思いから物語は始まります。

それにしても、現在の感覚でタイトルを聞くと街中では、夜遅い時間でも人が歩いています。「夜歩く＝夢遊病」ではないと思いますが、今であれば「夜歩く＝普通」になるかと思います。大体にして、昔のテレビ放送自体が夜12時を過ぎれば、砂嵐が発生していたので…。

ドラマの原作

原作の連載時期が昭和２３・２４年と言う時期であり、内容はどうしても戦中、戦後が色濃く反映しています。横溝正史の友人から送られた本から起草した作品です。なお、その本にあった「夢遊病」もしっかりと取り入れられいます。確かに、昔ですが「夢遊病」と言う言葉をよく耳にしていた記憶があります。

ドラマキャスト

金田一耕助・日和警部（古谷一行・長門勇）

いまさら変更されては、感情移入が困難です。安定のお二人です。

屋代寅太（谷隼人）

金田一耕助の戦友にして恩人です。戦後は、使用人として働いています。（鉄之進の甥）

古神八千代（范文雀）

岡山県に本家がある領主のお家。そのお家柄の先代の娘さんです。この方の兄が守衛になります。

古神四方太（菅貫太郎）

古神家の先代の弟です。この方の血縁が見ているだけでは、一番わかりにくいです。

仙谷鉄之進（伊藤雄之助）

古い俳優さんで芸名も役名も重厚さがあります。この方の役どころは、古神家の執事です。古神家の財産を守り切った手腕があります。そのため、主家を上回る力を持っています。

お柳（南風洋子）

古神家先代の後妻にして、鉄之進と四方太の二人を手玉に取る。八千代の生母。この方が漂わす悪者感と最後の場面は、どんな意味が…？

概要です

こちらのテレビドラマは原作と少し違うそうです。それを前提としてですが、私が気になったので最初にお伝えしますが、「四人衆」と言うものが出てきます。金持ち集団かと誤解していましたが、岡山県の古神家にたてついた農民四人衆だそうです。その一人が蜂屋画家の設定です。

最後まで気になったのが、蜂屋画家は自分の意思が働いていたのかです。微妙です。

今回も定番の連続殺人事件ですが、また首切り殺人です。さらに手首も切り落としています。幸いなことに技術や映像が古い分、怖さが少なめに感じられます。

ドラマあらすじ

小金井にある古神家の屋敷から始まる連続殺人です。被害者の首と手が切られています。さらに困ったことに、その家の令嬢には「夢遊病」がありました。横溝正史シリーズによく出てくるこちらの家も複雑な関係です。誰と誰が血のつながりがあるのか、混乱です。病気も遺伝する？この屋敷に居るのが金田一耕助の戦友です。執事の甥にあたるのですが、使用人として働いています。金田一耕助が無事戦友と再会を果たし、この屋敷に泊めてもらいます。

さて、首と手が切られているので、被害者の特定が難航します。まったくの私の推測ですが、この当時の血液検査はＡＯＢ検査しかできなかったようです。そのため、現代では通用しないトリックになります。でも、この当時は最新の犯罪だったと思われます。（指紋照合はされています）

困りました。夢遊病の方がまた出現です。ところで、夢遊病とはこのような症状なのか？私的には「夢遊病」は、日和警部が奇しくも口にしていた「寝相が悪い」のひどいバージョンだと思っていたので…。

今回は、洞窟こそ出てきませんでしたが、「四人衆様」…、古いいわれが絡みつきます。

本当に、よく絡みつきます！

ドラマの展開現場

小金井の古神家のお屋敷

このお屋敷は別荘なのでしょうか？説明がなかったと思いますが…。でも広いです。土塀が張り巡らされた立派なお屋敷で、敷地内では施錠をされていないようです。この時分の普通かもしれませんが…。

岡山県の古神本家屋敷

全景が映らないので何とも言えませんが、こちらも広そうです。でも、連続殺人事件の最中ぐらいは敷地内でも部屋の鍵は閉めておきましょう！

まとめ

戦時中の戦友への礼と旧交を温めることを期待していた金田一耕助でしたが、連続殺人でお仕事になります。

紀元前のハンムラビ法典をなぞるような犯罪事件でした。復讐を望めば、同じ道にたどり着くようです。すでに横溝正史シリーズを何度か見た方は思われていると思いますが、犯人の末路は同じケースが多いです。また、金田一耕助の行動も同じです。時代が異なりますし、あら捜しをするべきではないと思いますが、私的にはこの部分だけは少し納得が…。

この作品のラストは、汽車での日和警部の確信犯的行動が金田一耕助と見ている人をホッとさせてくれます。

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