この子の七つのお祝いに　映画（１９８２年）

「この子の七つのお祝いに」です。このタイトルは、まさに童謡の王道です。確かに、何かもの悲しさを子供心に感じてはいましたが、この作品でタイトル使用されるとは思いもよらぬ事です。ちなみに、童謡のタイトルの方は「通りゃんせ」です。

以前にも触れましたが、童謡には何かもの悲しさがあるのは、なぜでしょう？子供に聞かせる歌であれば、明るい方が良いような気がするのですが…。

映画の原作

こちらの作品は、１９８１年に刊行された斎藤澪さんの小説が原作となります。こちらの小説が他でもなく、「横溝正史ミステリ大賞」を受賞され、めでたく１９８２年に映画公開です。小説刊行、受賞、映画化と速いテンポで進んでいます。

映画キャスト

倉田ゆき子　（岩下志麻）

主演です！貫禄です！近寄りがたい存在です。私が知る限りでの最後の銀幕のスターです。私生活が想像できない方です。役柄は、場末のスナックのママ役です。華を隠し、名演です。

真弓　（岸田今日子）

自分の娘に、夫の恨み言を毎日聞かせ続ける母親です。娘の７歳を迎えたお正月に自殺です。こちらが「通りゃんせ」に繋がすようです。なお、演技もその声も怖いです。そー言えばムーミンも少し何故か怖かったです。忘れていましたが、部屋にある人形も怖かったです。う～ん、忘れられません！

母田耕一　（杉浦直樹）

持病があり、どこか自暴自棄の気配を感じるルポライターです。仕事への取り組みは、昭和の仕事人です。（主水さんではありません！）

須藤洋史　（根津甚八）

若々しい頃です。役柄も先輩母田の後輩役で、最後まで事件の真相を究明し続けます。もてそうで、もてない？

青蛾　（辺見マリ）

占い師です。しかも政界を左右する内容にも関わるそうです。占い方法は、手相です。特定の手相を探すこともされています。

結城昌代　（中原ひとみ）

真弓母子と同じアパートに暮らしていた女性の学生さんです。母を亡くした娘を引き取り会津で育てる、今では想像もできない優しい方です。

概要です

こちらも横溝正史ミステリ大賞を受賞しただけに、事件の原因も経過も似ているように感じるところがありました。結局のところ、世の中の事件の原因は、人間関係とお金に集約されるのでしょうか？

こちらの作品も戦中戦後の時代に影響を受けている時代のものです。最近の言葉でお伝えすれば「お宝映像」があります！岩下志麻さんのセーラー服写真が劇中で公開です。

なお、私的には、タイトルは「三つ子の魂百まで」か「雀百まで踊り忘れず」の方が適当では…、残念ながら童謡として歌えませんが。

映画あらすじ

アパートで若い女性の殺人事件から始まります。事件現場に残るタバコから血液型が分かるほど科学捜査は進歩しています。他にも残る「血の手形」です。

そこに絡む、政治家のスキャンダルを追うルポライターとその後輩です。その別々のものを手形が結びつけます。ルポライターも殺人事件の被害者として結び付きます。

後輩記者が先輩の遺志を引き継ぎ、事件を糾明するため真相の手掛かりとなる会津へ。

終盤から、怒涛の真相が分かり始めます。戦後間もない家族の不幸が様々な不幸を引き寄せたようです。

不幸な家族はそのままに、事件自体は解決です。

映画の展開現場

往来（ゆき）

須藤の愛用する安いスナックです。ゆき子ママのお店です。カンター席の他に奥には座敷も備えています。

母田自宅

母田本人曰く「ビジネスマンション」だそうです。初めて聞く種類のマンションですが、特に変わった構造のようには感じませんでした。イメージするところの独身ジャーナリスト男性の自宅です。資料も綺麗に整理されているようなされていないような家（部屋）です。

まとめ

今更の話ですが、童謡「通りゃんせ」は、どのような意味の歌なのでしょう…？では、本題です。

横溝正史シリーズで「金田一耕助」が登場してきて、物語の最後に事件解決と言っていたのに少し不満がありました。私がその事件の被害者であれば、もう少し早く解決してほしい！しかし、この作品を見て思います。金田一耕助は事件を終わらせてのではなく、物語を終わらせる役割だった？事件を終わらせるのには、金田一耕助がいない場合は、犯人の自白しか手段が…。

しかし、この復讐方法が一番、復讐される側にとって「辛く、悲しく、抵抗し難い」最悪の手段です。岸田今日子さん、すごい！それにしても、恨むべくは「ネズミ」です！

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