「最後の忠臣蔵」です。映画のタイトルから、従来型の「忠臣蔵」かと誤解される方もおられるかもしれませんが、こちらの作品は、「赤穂四十七士」物とは異なります。
中心人物として描かれているのは、「寺坂吉右衛門」と「瀬尾孫左衛門」です。そして、その二人の過ごした「討ち入り」以降の話が主題となります。この方々は、実際に「忠臣蔵」に登場している方になります。
紹介内容です
映画の原作
池上彰一郎さんです。同名の作品がこの作品の原作です。1923年生まれで83歳で没せられています。69歳で作家デビューとかなりの遅咲き、もはや遅植えです。「十三人の刺客」、「大殺陣」などの脚本を手掛ける。
なお、本作の脚本は、田中陽造さんです。数多くの脚本賞を受賞された方で、鈴木清順監督などと脚本制作をされています。
映画キャスト
瀬尾孫左衛門 (役所広司)
討ち入りの日が12月14日で、その直前の12月12日に逃亡したと記されている人物で、赤穂藩筆頭家老大石内蔵助の家臣です。そのため身分上では陪臣(家来の家来)になります。この身分だからに逐電したなどと言われることもあります。でも、武士です。
寺坂吉右衛門 (佐藤浩市)
この方も瀬尾同様に陪臣です。しかし、討ち入り前後(どちらか)に行方不明であり、真相も不明です。しかし、瀬尾同様に密命を受けて離脱したとの説。一方、身分の関係上、逃がしたという説もあります。
大石内蔵助 (片岡仁左衛門)
大石良雄、通称が内蔵助です。赤穂藩の筆頭家老です。
この作品だけではなく、忠臣蔵を見るたびに思います。身分が高ければ、落ちぶれていてもそれなりに暮らせる…。
可音”かね” (桜庭ななみ)
可憐です。カリオストロの城のクララのようです。礼儀作法を身につけ、凛とした姿に尊厳があります。家庭環境のおかげでしょうか?
ゆう (安田成美)
可音に礼儀の心得を教え、諸芸まで教えてくれたお師匠さんです。
概要です
「忠臣蔵」のメインは、どうしても「討ち入り」です。しかし、その裏では、別の話が進んでおり、表舞台からは程遠い世界で、さげすまれながら主命に生きる人を描いています。討ち入りで切腹の人たちも涙ですが、それを許されなかった人は…。
同じ境遇であった二人が、出会い、気にしながらも、それぞれの道を進みます。133分の作品ですが、終盤に差し掛かるほど気が重くなります。良い映画作品ですが、最後まで見ていると…。
映画あらすじ
「忠臣蔵」の後日談と紹介されることもありますが、「討ち入り」は一流の人の一流の場所で行われた「表舞台」です。こちらの作品が描いた「裏舞台」、二人の武士の生きざまです。
「忠臣蔵」で脱落か密命か意見が分かれる二人、この作品では、密命を受けた二人が描かれています。
こちらの作品では、「忠臣蔵」では、最後に描かれる「討ち入り」のシーンから始まります。水戸黄門であれば、印籠を見せる所からです。
大石より寺坂への密命は「事件の真実を皆に伝え、一党の遺族を援助せよ」です。実の所は、討ち入りに参加しなかった浪士の家庭が困窮したようですが、それはさて置き、「討ち入り」16年後に開催する”十七回忌”までに寺坂は奮闘し、遺族を廻り切ります。肩の荷を下ろす寺坂は、瀬尾を見かけます。内蔵助の親戚”新藤”に遺族全てに出会ったことを伝えても庭の上で報告の寺坂です。
可音(かね)は、いつも”ゆう”の元で習い事です。貧しくても、気品を漂わせます。この可音が瀬尾と寺坂を近づけます。ここから話が一気に進みだします。
映画の展開現場
自然の景色
物語に登場する邸宅などがありますが、移動する道すがら映る自然の景色が素晴らしく思えます。秋の紅葉、雪の山道、竹林の石畳、場面転換の合間ですが、綺麗です。
可音と孫左衛門の邸宅
広くなく豪華さもありません。狭い家で部屋も少ないですが、可音の暮らす部屋は上段の部屋です。さらに、小さな独立した仏間があります。
”ゆう”の邸宅
さすが昔名を馳せた方の邸宅です。豪邸では無いですが、素敵な「庵」です。
吉良上野介邸宅
一応ですが、忠臣蔵ものですので、冒頭で出てきます。ほんの少しです。
まとめ
涙、涙、涙無くしては、見終えることができません。そのため、週末のお一人様鑑賞をお勧めします。
なお、感動は大抵の場合は、元気にしてくれますが、感動したときに別の感情を持つことを経験させてくれます。
しかし、表舞台ばかり見て、舞台裏があることを知った作品です。時には、滅入るような作品も良いものです。
参考まで、何回も見ていると、中盤前からすでに涙が…。映像は内容と同じく優しいです。
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